母乳育児で追いつめられない為に必要な19の事

高齢出産 産後ケア 高齢ママの子育て2015年7月30日 更新

母乳育児で追いつめられない為に必要な19の事

何を飲ませるかでは無く、どう飲ませるか

SNSでも話題となっている偽「母乳」販売問題
母親たちは何故母乳で追いつめられるのか。
母乳でもミルクでも本当に大切なのは、何を飲ませるかでは無く、どう飲ませるかにフォーカスして、母乳で追いつめられない為に必要な情報とポイントについて紹介します。

不衛生な「母乳」のネット販売

不衛生な「母乳」がインターネットで販売されているという報道を受け、厚生労働省が注意喚起を求める通知を都道府県等に出したのが7月3日。
母乳が十分に出ずに悩む女性が購入している可能性があると判断した為です。

1200円で販売される母乳

ネット上で、母乳の売買を呼びかける業者のサイトや個人のブログ。
ある業者のサイトでは、「母乳とは人の命の源」「質の高い母乳をお届けします」と謳い、50ml1200円で販売しています。
厚生労働省は、こうした管理状況が不明な他人の母乳を飲ませる事について、母乳に病原体や医薬品などの化学物質が含まれていれば、乳幼児に悪い影響を与える恐れがあるとしています。

母乳希望9割強も実際は「ミルク併用」4割

厚生省が2005年度に行った乳幼児栄養調査(解析対象2722人)で、96.6%の妊婦が「母乳で育てたい」と考えていながらも、実際に母乳のみで育てているのは生後3ヶ月で38%。
ミルクを併用する混合栄養が41%と最も多く、ミルクのみが21%でした。

授乳について困ったこと

・母乳が不足気味:32.5%
・母乳が出ない:15.6%
・外出時に授乳できる場所がない:14.9%
・ミルクを飲むのを嫌がる:11.5%
※厚生労働省の05年度調査から

この調査結果から見えてくるもの。
それは母乳育児を希望しているにも関わらず、様々な理由で現実にはミルク併用育児にならざるを得なったママ達の苦悩です。

自然分娩神話と母乳神話の弊害

「出産の痛みに耐えてこそ母親」といった自然分娩神話の中、帝王切開で出産したママ達が周囲の心無い言葉で傷ついているように、ミルクで育てているママも同じように傷ついています。

母親失格と自分自身を追いつめてしまうママもたくさんいます。

今回の偽母乳販売は、こうした追いつめられた母親の心理を逆手に取った悪質商法であり、責められるべきは母親たちではありません。

なぜ母乳に追いつめられるのか

なぜ母乳に追いつめられるのか

今回の報道を受け、SNSでは「最初から不衛生とは思わないの?」「誰のか分からない母乳を自分の子どもにあげるなんて理解不能」等、購入した母親たちにも問題があるというコメントも見られました。

けれど、そうした判断も出来ないくらい追いつめられていたママたちの苦悩もまた浮き彫りにされたのではないでしょうか。

母乳は自然に出るという誤解

多くの人は、子どもを産んだら母乳は自然に出てくるものだと思っています。
けれど、まずここに致命的な誤解があります。

「赤ちゃんを産んだら自然におっぱいは出るもの」。

だから母乳が出る仕組みやミルクとの併用等について特に意識する事も無く、我が子との対面を心待ちにするママたち。

私も妊娠中に「母乳はすぐに出るものではない」というレクチャーを受けなれば、間違いなくそう思っていた筈です。

「母乳やミルクについての正しい知識」、実はこうしたレクチャーをきちんと行っている病産院は非常に少ないのが現実なのです。

どうして出ないの?どうして飲んでくれないの?

無事に出産した我が子を胸に抱いて、いざおっぱいを飲ませようとした時。

母乳が出ない。
赤ちゃんも嫌がって乳首を含んでくれない。

この時「母乳はすぐに出るものではない」という認識がなければ、パニックに陥るのは当然です。

産後1日目、2日目と時間の経過と共に「どうして出ないの?」「どうして飲んでくれないの?」といった不安は膨れ上がります。

そして「私の胸が小さいから?」「乳首の形に問題が?」「食べてるものが良くないの?」「私が高齢出産だから?」と、全て自分に原因があるのではないかと自分を責め、更には吸うのを嫌がり大泣きする我が子を責めたくなる罪悪感に苦しみます。

多くの育児雑誌で、主流はあたかも「完全母乳」かのような書かれ方をされてるのもそんな気持ちに拍車をかけます。

産後3日迄に出る母乳の量はわずか

でも、実際に出る母乳の量は本当にわずかです。
もしも母乳がタンクの中に貯蔵されているようなイメージを持っているとしたら、そのタンクは「ゼロ」の状態なのです。

母乳はひとりでに出るのではなく、赤ちゃんに吸わせる事で初めて母乳分泌のスイッチが入ります。
だから産後すぐに母乳が出ないのは当たり前で、赤ちゃんに乳首を吸わせる事で少しずつ出るようになるのです。

→母乳が出る仕組みを知ってリラックス授乳にチャレンジ

新生児の胃の容量は小さじ1杯

例えば3,000gで生まれた赤ちゃんの胃の容量は約5~6ml。
これは計量スプーンの小さじ1杯程度。
日ごとに少しずつ成長していきますが、生後7日でも60~67ml、卵Lサイズ位の大きさなのです。

このように新生児の胃が小さい事を知っていれば、赤ちゃんの1回当たりの哺乳量が少なくても心配ない事が分かると思います。

帝王切開で生まれた赤ちゃんはより時間がかかる

帝王切開で生まれた赤ちゃんは、出産に伴うストレスが少ない分、誕生後3日位は自分が胎内にいるのか胎外にいるのか分からないそうです。
積極的に母乳を飲まないのには、こうした理由があると考えられています。

だから最初は焦らずに、優しく抱きしめて乳首をなめさせるだけでも良いとの事。

また、お腹の傷が痛む時にはフットボール抱きや、寝たまま横向きで飲ませると楽になります。
家族や病院の看護師に手伝ってもらう事も大切ですよ。

突き刺さる周囲の言葉の刃

突き刺さる周囲の言葉の刃

思うように母乳が出ないと悩むママたちを更に追いつめるのが、周りの人の言葉。

家族や受診先の一部の専門家から「足りてないんじゃないの?」「努力不足よ」と言われたりするケースがあります。

実際、私の周りでもお互いの両親から「ちゃんと食事に気をつけないからよ」「母親の責任よ」等と言われ、産後うつになってしまった友人もいました。

十分過ぎる程頑張っているママにとって、こうした言葉は刃でしかありません。
追いつめられる事で育児不安はより高まり、子どもにも悪影響を及ぼしかねません。

産後のママはただでさえ情緒不安定

マタニティ―ブルーズと言われるように、産後のママは心身共にとてもデリケート。
ちょっとした事でもストレスを受けやすく、疲れやすくなっています。

ただでさえこうした情緒不安定な時に、母乳育児のプレッシャーがかかるとそれが強いストレスとなり、かえって母乳の出が悪くなってしまう事もあります。
これは母乳を射出する働きをするホルモン「オキトシン」の分泌がストレスや疲労によってセーブされてしまう事から起こります。

大切なのは母乳育児にこだわる事では無く、ママができるだけストレスを溜めず、赤ちゃんと向き合える環境を作る事なのです。

相談できる助産師やサポートサークルを見つける

退院後のママに、最も必要なのは様々な相談が出来るサポート体制です。

里帰り出産や、ご両親のサポートが望めない場合は、妊娠中に「助産師外来」や「母乳外来」がある病院を探しておくと安心です。
出産する病産院や地域の保健所、保健センターなどで尋ねてみましょう。

また新米ママの育児を助ける為に、自治体や病産院がサポートサークルや、育児サークルをつくっている所もあります。
サークルではママ友も出来るので、悩みを共有する事が大きな助けになります。
ネットなどで近くのサークルを調べておくと良いですよ。

母乳が出る・出ないはママの責任ではありません

母乳の出やすさは、出産した施設や、退院後の地域のサポート体制に大きく影響されます。
様々な理由で赤ちゃんに十分な量の母乳が出ないとしても、それは母親の責任ではありません。
厚生労働省も「子どもの健康の為に育児用ミルクが必要になる場合がある。一人で悩まず、医師や助産師などの専門家に相談してほしい」としています。

母乳育児の第一歩は産院選びから

母乳育児は、どんな施設で出産するかによって大きな影響を受けます。

授乳を始める時期や方法も産院によって様々です。

妊娠中からおっぱいマッサージ等、母乳育児に向けた指導に力を入れている産院や、母乳の悩みを相談できる母乳外来を設置している所もあります。
まずは母乳育児で、と考えるママは母子同室制の病院である事やこうした支援体制の質も選ぶポイントになります。

私が出産した病院は、妊娠中から母乳のしくみやミルクとの併用、おっぱいマッサージや食事等についても詳しいレクチャーがありました。
お蔭で、産後すぐに母乳が出なくても慌てず「とにかく赤ちゃんに吸わせる回数を増やす事」に専念出来ました。

1日数回、看護師さんのおっぱいチェックがあり、乳首が赤くなって痛んだ時には、正しい咥えさせ方(ラッチオン)も指導してくれました。
すぐにミルクを勧めるのでは無く、「無理しないで、辛い時は言って下さいね」と気持ちに寄り添ってもらえた事も安心感に繋がりました。

→母乳育児の為に必要な病産院選びのポイント7つ

完全母乳にこだわらない

母乳で育てたいという気持ちが強ければ強いほど、「母乳で育てなければいけない」というプレッシャーに襲われます。
けれど、大切なのは「完全母乳で育てる」事では無く、赤ちゃんの健やかな成長の為に何をすべきかです。

母乳育児に固執し過ぎると、そればかりに気を取られて自分自身を追いつめるだけで無く、赤ちゃんとじっくり向き合えなくなってしまう危険性があります。
ミルクだからダメという事は絶対に無いのですから、完全母乳にこだわり過ぎる必要はないんですよ。

赤ちゃんの成長の為に必要となるミルク

母乳育児を頑張っているママにとっては、ミルクを足す事に抵抗を感じるでしょう。

けれど頻回授乳をしても体重の増加が見られない場合は、赤ちゃんの発育に必要なだけの母乳が分泌されていないか、まだ上手く吸いつけていない事が考えられます。
このような場合、医学的理由からミルクの補足が必要となります。

その際、母乳も並行して続けられる様にミルク哺乳瓶の乳首の選び方や飲ませ方等、いくつか気をつけるポイントがあります。

→混合授乳のやり方とコツ!母乳とミルク量や回数の適切な方法

求められる正しい知識とサポート

帝王切開で出産した母親は「母性が育たない」という偏見同様、完全母乳で子どもを育てられない母親は「努力が足りない」といった、誤った世間一般の認識を払拭する事が急務であることは明白です。

各専門機関や病産院等では、妊婦に対し母乳やミルクに関する科学的根拠のある情報を伝える必要があります。

同時に「母乳で育てたい」という母親たちの気持ちに寄り添い、適切なアドバイスとフォローで育児支援を行っていく事が求められます。

そして家族はママの頑張りを認め、温かく見守っていく事が大切です。

授乳の本当の意味

授乳の本当の意味

ママの優しい微笑みと温かい胸に抱かれながらの授乳の時間は、赤ちゃんとママの絆を深める貴重な時間です。

母乳でもミルクでも、大切なのはママと赤ちゃんが見つめあい、心と絆を育む事です。

例え母乳であっても、スマホやテレビを見ながらの「ながら授乳」では、この絆を深めることは出来ません。

何を飲ませるかでは無く「どう飲ませるか」の方がずっと大切なのです。

今回の偽母乳販売の報道をきっかけに、これからママになる女性にとっても授乳の本当の意味を考えるきっかけになる事を願います。

《参考文献》
おっぱい先生の母乳育児「超」入門/平田喜代美 著
いちばんやさしい はじめての母乳育児/SOLANIN 監修

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